石垣島でのひととき

2020年9月7日

石垣島での買い出し― 通信販売でほとんどのものが手に入る便利な時代となったが、今でも多くの石垣島周辺離島島民が食料品、日用品を買い求めて海を越える。 通信販売といえばつい先日イオンのネットスーパーがついに小浜島に届くようになった。 それでも人々は石垣島に向かわなければならない。 行政サービス、金融機関、どうしてもときどき食べたくなるKFC・・・こうした事情があるにせよ、それぞれの離島にはない雑踏、顔見知りに会わない束の間の非日常、こうしたものがそうさせているのかもしれない。 行政サービスといえば竹富町の町役場は隣の石垣市に立地するという全国でも珍しい自治体である。 ともあれ買い出しを終えた後、人々はそれぞれの島に戻る定期船の出航時刻まで思い思いの場所で思い思いの時を過ごすことになる。 私が決まって向かう場所は、市街地の八重山郵便局が面する大通り、大通りといっても片側一車線のゆいロードを北西方向に進んだ先にある。 八重山では数少ない国指定重要文化財のひとつ、権現堂である。 1614年の創建、薩摩藩が琉球国王に寺社の建立を進言したことが始まりとされ、創建後自然災害により損壊し再建されたものであるが、沖縄県内では最古の木造建築とされている。 権現堂の隣には、同時代に建立された桃林時という寺があるが、権現堂は寺の一部ではなく神社である。神社といっても鳥居はなく、また神主もおらず、その社殿は本土のそれとは大きく趣が異なる。

赤瓦と朱色、彩色の装飾が美しい本殿が、南国特有の木々の緑と蝉時雨に包まれて佇む姿にはただただ息を呑むばかりである。
余談ではあるが、権現堂への道は先のゆいロードからではなく、市役所通りのJAおきなわあたりから北東に伸びる細い路地を進んでいくのが心地良い。まっすぐな路地の正面、社殿と同じ朱色の薬医門が出迎えてくれる。
小浜島の行き帰り、石垣島でお時間のあるときはぜひ訪ねてみてくださいね。 今回は長年のブランクを経てポークタマゴがお送りしました~