笑いの主砲。

2016年7月13日

皆さん、こんにちは! 約2ヶ月ぶりの登場、4番セカンド、アラキングです。 いやぁ、5月18日ぶりですかぁ。 僕が住んでいる漁師集落「細崎」で若者が集まってソフトボールチームを作りました。 僕は野球はもちろん、ソフトボールもほとんどやったことが無いです。 しかし、 練習をたまぁにやるのですが白球を追いかける青春って言うのですかね、 なんか、「体のイメージが繋がる瞬間」 って言うのですかね、思ったとおりのプレーが出来ると 本当に嬉しいものでした。まぁヘタなんですが。 仲間からは散々「なんでそんなに肩弱いの?」とかここをこうしろ、とか、あそこが駄目だ とか言われ続けていました。 それでも、なんとか、皆に追いつこうと、35歳、頑張ったんですよ。 そのチームで竹富町の島々のチームが集結して行われるトーナメントに出場してきました! 場所は西表島です。 試合の前日にはポジションと打順がそれぞれ、野球経験者のS君から皆に発表されました。 1番・2番・3番と着々と上手な人たちがレギュラーを掴んでいきます。 俺なんて素人だし・・・・・下手糞だからレギュラーにすらなれるかな・・・・・ なんて思っていて、 「それでは4番です。」 「アラキングさん、お願いいたします!」 ・・・・・アラキングさーーーん、4番ですよーーーーー!!! ・・・・・・アラキングさん?・・・・・・・ アラキングさんって俺??????????? 正直頭がで一杯です。 中学校の時に石原軍団に餅つき大会に誘われたときくらい頭がで 一杯です。 同じく中学校時代に、努力の末、狙っていた高校の推薦をもぎ取り、やっとこさ受けた面接で面接官に 「中学校の時に一番したいたずらはなんですか?」 って聞かれて ドラマの見すぎで思わずやったこともないのに 「先生の頭に黒板消しを落としたことです」 と、答えてしまったとき位頭に?が一杯です。 (不合格でした・・・・・・) 話がそれました。 いや、なぜ??何故俺が少年なら誰しもが憧れる4番バッターなんだ???? と、発表しているS君に聞いてみたら、返ってきた答えがこうです。 ↓ ↓ ↓ 「ウケ狙いです♪」 そして畳み掛けるようにこう言い放ちました。 「長打とか全く期待してませんからね♪」 そ・そ・そ・そ・そ・そげな・・・・・・・・ どこの世界に、長打を期待されずにウケ狙いの為に4番を任される人がいるのでしょうか。 例えるなら、SMAPに急に入ることになって 「あ、君、明日から木村拓哉の代わりだからね。もちろん期待はしてないけど頑張ってね、 三日後東京ドームだからね。」 と言われるようなもんです。 話がそれました。 ソフトボールで何をしたらウケるというのか・・・・・ そもそも、笑わせた方がいいのか、笑われた方がいいのか・・・・・・ 疑問がグルグル頭を駆け巡りアンサーは出てきません。 しかも誰も僕が4番なことに異論がありません。 チーム皆が期待しているのです。僕に。 長打では無く笑いを。 期待を背負いながら向かいました。 決戦の場所、西表島へ。 船には僕と一緒に働いているSHOPのSTAFFの女性も応援の為に乗船してました。 でも、その娘は知らないのでしょう。 まさかいつも一緒に働いているちょっぴりお茶目でたまに怖い 店長がだいぶお茶目に、ある意味怖い、受け狙いの為の4番になっているということを・・・・・・ 生まれて初めての野球(ソフトボール)の試合。 場所は学校でとても広く、試合会場が2面もとれます。 午前中は試合が無かったので相手チームの研究やら 素振り、キャッチボールをしてなんとなく時間を過ごしました。 そして・・・・・・初めてのプレイボール・・・・・ 4番なのできっちり4番目に 打順が回ってきました。 ・・・・・あれ・・・・こんなにバッターボックスって広いんだ・・・・・ どこに立っていいのかもわからねぇ・・・・・・・ 焦る僕。 うわっボール来た!なんて言うのを繰り返したら1打席目サードごろ。 2打席目、ピッチャーライナーでした。 しかし、1試合目は友人の奇跡の満塁ホームランで何と僕達、素人軍団が4対3で勝ちました。 これには興奮しました。 しかし、自分を振り返ると・・・・・・ 凡打ばっかり・・・・ヒットもない・・・・そして・・・・・笑いもない・・・・・・ 何にも良いところがないまま、2回戦目です。 2回戦目は完全に打撃戦になりました。 向こうが7点とってきたらこっちは4点とるとか そんな有様です。 しかし、だんだんだんだん試合が進むにつれて 皆の表情が変わってきてます。 何故か、最初のゆるゆるモードがありません。 目には闘志を燃やし、声援には怒号すらまざるほど 皆が真剣になってきました。 皆のユニフォームは泥にまみれてます。 誰もが真剣で、誰もが勝ちたいのです。 もはや、「勝ちたい」の4文字以外考えることが出来ません。 1番打者、3番打者が塁に出ました。 ランナー1塁2塁です。 そして、4番の僕の打順です。 かかる声援が 「ヒット打てよ!!」 「アウトになんなよ!!!」 「絶対にフライは打ち上げるなよ!!」 皆、熱くなりすぎて 僕をウケ狙いで4番にしたことすら、忘れています。 本物の4番だと思っています。(涙) ・・・・ならば・・・・・・やるしかねぇな・・・・・・ 相手ピッチャーのモーションからキャッチャーに球が届くまでのタイミングを 未経験ながら計り、何球か見過ごしました。 空を見上げ、ふーっと一息。 カウントは1ストライク2ボール。 「いける・・・・・・・・」 そう確信した僕は、深呼吸をして、ピッチャーをにらみ付けました。 「来い・・・・・・・」 そう、呟いたあと、ピッチャーはど真ん中高めの ボールを投げてきました。 ボールに吸い込まれるようにフルスイングをしました。 カーーーーン! バットから今までに無いような快音が西表島に響きます。 「う、うそ?これは長打になる!!!」 ぐーーーーーーーんと伸びた 球はずーっとずーーーーと遠くの方へ放物線を描きながら センターの頭を越えていきました。 試合会場にはホームラン用の柵がありません。 球の行方はもはや、僕には見えません。 必死に走るしかありません。 1塁を蹴り、2塁へ・・・・・・・・ ・・・・・・・・まさか、ランニングホームランじゃ・・・・・・ ありったけの力を込めて走ります。35歳が全力疾走です。 帽子がが跳ね上がる位の疾風を巻き起こしていたので帽子は右手で跳ね除けます。 2塁を蹴り、3塁へ。 しかし、2.3塁間は不幸なことに泥だらけで足元をすくわれます。 (キクラゲみたいのも生えてました) 転びそうになるのをなんとかバランスを取りながら3塁コーチャーを見ると・・・・・・ 「周れ周れ!!!」 と腕をグルグルしています。 え?ホームまで走って良いの? もつれる足を前へ前へ、必死に地面を蹴りあげて走りました。 そして3塁を蹴り ホームまで一気に快走しました・・・・・・・・・ なんとランニングホームランです!!!!!!!!!!!! 仲間がめちゃくちゃに、顔をくしゃくしゃにしながら僕にハイタッチを求めてきます!!!! 普段、怒り顔の奥さんも、全開で喜んでくれています。 何が起こったのか良く分からない気持ちと嬉しさと興奮と全力疾走の疲れが交じり合って やがて未知の快感が僕を包みました。 自分の1振りでこんなにも興奮し、仲間も興奮させることが出来るのか・・・・・・ 野球っていいなぁ。仲間って最高だな。 その後、善戦をしたのですが 残念ながら試合は14対9で負けてしまいました。 落胆している僕に、遠くの方から僕達の試合を見ていた先輩が声をかけてくれました。 「試合、残念だったな。でもホームラン打ってたじゃん、すげー球飛んでたよ」 「はぁ」 なんて曖昧な相槌を打ちました。 試合に負けてしまったらホームランを打っても何の意味も無いんですよっていう 謙虚な雰囲気を演じながら心の中では 「すごいでしょ!!!??もっと褒めてくれ。もっともっと俺を称えたまえ。んで君は?え?ホームラン打ってないの? 世の中には2種類の人間がいるんですよ。そう、すなわち ホームランを打った人と、打ってない人 ですよ イヒヒヒヒヒヒ」 なんていう発言を必死に抑えていました。 しかし、そのニヤニヤを完全に叩き落す、一言が先輩の口から 放たれたのです・・・・・・ 「アラキングの走り方・・・・・超おもしろかったよ(笑)」 と言いながら僕の走り真似すらする先輩・・・・・・・ 腕をグルグル回してます。 嫉妬ですか!?ホームランを打った僕に嫉妬しているんですか!? それなら他の人が褒めてくれるさ、なんて思いましたが 次会った人にも次ぎ会った人にも 「ホームラン打った時の、走り方が面白かった」 と言ってます。 笑顔がスーーーっと消えていく僕・・・・・・・・・ そうか・・・・・・・ 僕の走り方は面白かったのか・・・・・・ 失意の二文字が肩にのしかかります。 しかし、横にいた友人が一言。 「良かったじゃん、笑い取れたじゃん この野郎!なんて一瞬思いましたが我に返りました。 「あ・・・・・・・」 そうだった。思い出しました。 今日の自分の仕事はウケ狙いだった・・・・・・ 本来の目的を忘れていました。 それを最高の形で叶えられることが出来ました。 願わずも、笑いでも野球でも最高の4番打者になれたのかもしれません。 来年も6月にまた大会があるようです。 今から必死で走る練習をしています。 来年は必ず決勝戦までは進みますので 皆様は僕からの報告をお楽しみ下さい。 PS 後日、違う先輩からの凍りつくような一言 「走ってる最中に帽子、自分の手で外したでしょ? あれ、守備妨害で本当だったらアウトだからね、ははははは!!!」 ・・・・・・・まずはルールから覚えねば・・・・・・・・