美酒と夕焼けと美魚。

2015年9月14日

こんにちは!釣男(ちょうおとこ)アラキングです。

いやぁ、夏休みでしたね☆夏のシーズンになると何が嬉しいって
昔からはいむるぶしを愛してくれている方々が沢山、小浜島に帰ってきてくださり
僕なんかにお声を掛けてくれることです。

自慢ですが、先日も台風で大変な思いをしてなんとか小浜島にたどり着いた方
が「アラキングに会えるかと思ったら頑張れたよ」なんて一言を・・・・

やはり接客業をしている一番の喜びは人と繋がれる事に尽きるでしょう。
この喜びを表現せねば。

前々回のブログで俵万智さんに感銘を受けたとブログで書いたら
「俵さんは文中に一句詠むよ!」
なんて言う意見があったので僕も負けじと。

再会し 経つ時超えて 夏彩る

・・・・勉強が必要ですね・・・・・・

先日、ある離島でお祭りがあったので友人と二人で行ってきました。

なぜ島名を隠しているのかと言うとおじさんとの約束だからです。

そのお祭りの参加人数!!
出ました!67人!!

今日本の人口は??130000000人。
その中、67人しか集まらない激レアなお祭りなのです。

後述しますが夕暮れライブでは島のおじいさんがMCで
「今日、この島の祭りだということを誰にも言うなよ。このこじんまりさがいいんだからな」って言ってました。

そしてこのお祭りでは何が模様されるかと言うと、「船釣り大会」「磯釣り大会」「カヌーの早漕ぎ大会」そして、それらを統括する様に行われる、夕暮れライブ!20時に終演!

釣りもカヌーも大好き!うーーーん、楽しそう!

僕と友人は、泳ぐグッズも持ってきていたので、船釣りに参加してしまうと
自由に離島の海を散策できないなと判断したので
磯釣り部門にエントリー。

ルールを聞いていると
何でも、釣れた「数」「大きさ」「重量」の三部門で競い合うようです。

あっ餌のサンマを自宅に忘れてきました・・・・・

餌が無い旨、相談するとなんと大量のカツオのハラゴをくれました。
なんて太っ腹なんだ!最高すぎるぜ。

なんでも、釣れても釣れなくても本部(魚の計測も行う)ところに
終わったら帰ってきて欲しい、とのこと。安全確認もしたいそうです。
こんな細かな配慮にもすごいなぁと思ってしまいます。。

というわけで、ヨーイスタート!の合図で、釣り開始。
制限時間は3時間。

この勝負、実は少し有利です。

離島の事情、状況は本土の旅行者の方々より
僕達の方が熟知しているのに決まっているからです。

しかし、油断は出来ません、僕が欲しいのは勝利では無いのです。
そう、完膚なきまでに叩きのめす天下統一のような圧勝です。
釣れた魚の「数」も「大きさ」も「重さ」も僕達が必ずもぎとるのです。

友人と、この潮はどうだからここ、とか、風は南からじんわり吹いているし台風後のうねりも
考慮してここが良いとか、正直、他の本土から来た参加者には負ける気がしません。
というか負けるわけにはいきません。

神経を全て研ぎ澄ませ、釣りに没頭します。

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耳で風を読み、目で海流を見、鼻で潮を感じ、息をゆっくり吐き、
竿を持つ両手に、触覚の全神経を集中させます。

魚を釣るコツは、正直、竿と一体化すること、そして、何より自分が魚になることです。

・・・・島の自然と一体になった瞬間、魚が釣れました!!!

楽しくてしかた有りません。やはり釣りは楽しんでやるものです。
後から結果は自ずとついてくるものなのだと思います。

途中で、防波堤のブロックから滑って足から軽く流血したり
裸足で歩いていたらあまりの地面の暑さに足の裏の皮が剥けたり
アクシデントはありましたが、人一倍備わっている負けず嫌いの
性根が見え隠れし、優勝の為に耐えました。

竿を投げ続けること3時間、疲弊の裏側の爽快感・・・

遂にタイムアップです。


皆様に、僕達が釣った魚をお見せいたしましょう!

これです!















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マダラエソ君(♂)12cm 8g

・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ル・ル・ルアーのほうがでかい・・・・・

もういちど!!

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そうです・・・・・

これだけです・・・・・・・・・・・・・・・


大の大人二人が遠くの離島まで竿を持参して
軽く怪我までして釣った全ての魚です・・・・・・・・・・・

正直リリースすべきか非常に悩みましたが
釣り部門では数の勝負もあるので
万が一の為にBOXに入れてキープしておきました・・・・・

しかし、今となっては彼だけが僕達の全てです・・・・・・

そして、先ほども書きましたが釣れても釣れなくても
本部席に報告しに行かなくてはなりません。



その島では数は少ないですが、青春真っ只中!と言った学生や
中睦まじいカップルがキャッキャと波打ち際で人生を謳歌していました。

その渦中を、マダラエソの50倍はあるクーラーボックスに
マダラエソだけ
を入れて下を見てトボトボと歩く中年のおじさんが二人・・・・・・

・・・・不幸です・・・・・・

やっと本部席に着いた二人。

「どうする?(マダラエソ)捨てて、何も釣れなかった事にする?」

「・・・・・・そうだね・・・・・・」

とヒソヒソ話しをしていたら、
「お帰りなさい!!」

と飛び切りの笑顔で迎えられました。

「それでは釣れた魚見せてくださ~い!」
僕達のBOXをガシガシ開けだす島の人・・・・・あっ・・・・・それだけは止めて・・・・・・・・・

パカっ!

マダラエソ君が恥ずかしそうに氷の上に横たわっていました。

「え?」

という顔をし僕達二人を見上げる島の人。

コクンとうなずく僕の表情に彼は全て察してくれました

でも決まりなのでしょう。
「じゃ、これ計測に回しますね・・・・・・」
と指でマダラエソを摘んで彼を持っていってしまいました・・・・・・

途中でマダラエソと目が合いましたが
「なんか済みません・・・・・」という目をしていました・・・・・・

「いえいえこちらこそ、済みません。まさか君だけで釣り大会を
戦わなくてはいけなくなるとは・・・・」

肩を落とし二人でトボトボと帰りましたが
見上げるととても素晴らしい夕日が海に
映し出されて幻想的で、僕達の憂いも疲れも夕日の
オレンジに染められ溶けて行く様でした。

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シャワーを浴びて、夜の懇親会に参加しました。

懇親会では音楽ライブがあり、とても美味しい食事がでて
皆で盛り上がって僕も思わず立って踊りだしたり最高の夜でした。

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しかし、僕達は大事なことを忘れていました。

そうです。大会の結果発表です。

いや、マダラエソでエントリーした憂いなぞ酒席での笑い
踊り、歌で忘却の彼方に吹き飛び
既に二人の間では笑い話です。

カヌーの結果発表、船釣りの結果発表が終わり、
いよいよ磯釣り部門の発表です。

他の方々がどんな魚を釣ったのか、どれだけ大物だったのか
非常に楽しみです。

「それでは磯釣り部門の結果発表です!
「大きさ部門」と「重量賞」は同じ方が受賞しました!皆さん大きな拍手を
お願いいたします!!!」












「アラキングさんです!!!」

・・・・・・・・・・・・え?

・・・・・・・・・・・・・・・・え?え?

「アラキングさん、舞台までお願いいたします!!」

クチャクチャと噛んでいた天ぷらを思わずポロッと
落としそうになりました。


え?ユウショウってなんだっけ・・・・?

ぼーぜんとしている僕は舞台までほぼ連行され
壇上に上げられてしまいました。

壇上で我に返りました。

頭にあることがよぎります。

それまでの優勝者にはカヌーの記録や船釣りの記録が
皆の前で発表されていたのです・・・・・


しかし、僕が釣ったのは何度も書きますが12cm 8gのマダラエソ・・・・・・

顔がどんどん真っ赤になっていくのがわかります。
日焼けじゃないことももう大人なのでわかります。

頼む・・・・・・・それだけは・・・・・・・
発表だけは止めてくれ!!!!!

しかし、島の人はさすがに優しいです。

何事もなかったようにスルーし代わりに

「今、目の前にある刺身は、彼や船釣りの人たちが
一生懸命釣った魚です!
美味しく食べましょう!」

と言ってくれました。

その声援に応える僕。

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拍手のまま壇上から降りて席に戻るまで僕には拍手や
ありがとう!なんて掛け声が浴びせられていました。

マダラエソは、食卓には並んでいませんでした・・・・・・

彼とは二度と会うことはありませんでした。


後ほど伺うと、磯釣り部門でエントリーしていたのは
二人だけだったようです。

すなわち、僕と友人です。
そして残りの「数量部門」を友人が無事にゲット
二人で三冠に輝きました。

マダラエソ一匹で三冠です。

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島歌ライブで島のおじさんが
「お前ら誰かにこのお祭りのこと言ったら
景品もらえなくなるぞ!ひっそりやるのがいいんだからな!」

って言っていました。

お祭りや催し物は人が集まれば集まるほど
「成功」だと思います。

しかしこのお祭りの主催者側がそれを求めていない・・・・・

「自分達が無理の無いように、参加者が全員参加し楽しんでもらい
皆とワイワイ盛り上がれる為には、集まる人数は少ないほうが良い・・・・」

僕と友人は島の人と話しながら
今までにない感覚を味わいました。

「そう。こんなんでいいんだよな。」

と、二人で最後口を揃えて言い合いました。

人間の価値観は人それぞれで何が正解とかは
無いですが、島の人の価値観は明らかに
僕とは違い、いつも何かを享受せずにはいられません。

その違いを見つけ理解しようと努力したら
僕も奥深い人間になれるのでは無いかと思いました。

また来年もこのお祭りに参加したいと思います。

誰にも教えたくないのは、誰かが知ってしまうと
マダラエソより大きなものを釣ってしまうからです。


絶対に磯釣り部門に参加してやろうと、今日も竿とリールの
手入れを怠らないアラキングでした・・・・・

PS、優勝者にはトロフィーもありましたが僕と友人の分は有りませんでした。
さすがにマダラエソで、トロフィーはなぁ・・・・と主催者達が話し合ったのかと思うと申し訳ない気持ちで一杯です。