アラキングの石垣島旅行記③

2014年7月23日

こんにちは!
アラキングです。
夏真っ盛りの最高の季節の中、いかがお過ごしでしょうか?
僕は、色々あるけど元気です。

さて、いよいよ、三ヶ月にわたる長編ブログも本日でラストです。
僕はこれを楽しんで笑いながら書きました。
ほとんどノンストップで一気に書き上げました。
ですので、皆さんもこれを楽しんでいただけたら最高です。
(なんとなくアラキングの文章は村上龍の69に似ているね、
なんていう感想がありましたが村上龍さんも
69を本当に楽しんで書いたとエピローグで書いてましたね。)

石垣島旅行記①

石垣島旅行記②


~~~~~~石垣島の風に吹かれて③~~~~

顔が引きつるのが分かる。

オニササにはちゃんとした作り方がある。
ビニールの中でおにぎりとささみをしっかり
包まなければならない。

それを失敗すると
具とタレがグチャグチャになってしまったり、何かとスマートにいかない。
そして、ちゃんとオニササを作れて始めて、
オニササ街道を走り出せるというものなのだ。


まずい・・・・と瞬時に感じたが、周りから見たら僕は15年ぶりに
オニササを食べに帰ってきた島人なのだ。

ミスるわけにはいかない。

必死に昔、友達に教授された、その作り方を
記憶の奥底から
蘇らせようとする。

・・・・・・遠くの遠くの方からかすかに聞こえてくる
友人の声・・・・・
「ごにょごによごみょオニ・・・ささ・・・ビニール・・・・・ごにゅ」

もはや頭の中で雑音と化してしまったその助言。

しかし止まっている暇等ないのだ。
僕は、オニササ歴15年の大ベテランなのだから。

一回冷静になり、息を整え
頭の中にレシピを構築する。

①透明の惣菜用のビニールの中にササミを入れて・・・・・

②そのビニールが汚れないように、側におもむろに置いてある
ケチャップやらソースやらをかけて・・・・・・

③おにぎりは・・・・包む?

・・・・・・・全然わからない。
友達の声が頭の中で僕に助言をくれる。

「ごみょごみょ・・・・ビニールが・・・・手で入れて・・・・ゴミョゴミョ」

・・・・・相変わらずの雑音。

大丈夫大丈夫、いつも知ったかぶりで何事も
クリアしてきたじゃないか結婚もできた!問題ないさ。

目の前にトングやら惣菜用のビニールやら輪ゴムやらが見える。

そう、このビニール内でオニササを作るのだ。
ビニールを一枚、サッと抜き取る。

そして、一番美味そうなササミを選び
ビニールに入れる。

ここまでは100点満点の動きではないだろうか?

よし、ソースだな。惣菜の温蔵庫の横には
ソースやらガーリックソースやらマヨネーズやら
調味料がこれまたぶっきらぼうに欄列さている。

ビニールを汚さないように
なるべく、ドロドロしたソースを選び、
ビヤー!っとかける。

「ケチャップは・・・・外せない・・・」

友人の声が脳裏に響く。

OK、ケチャップだな!
ビヤーっとかける。

思いの他、ビニールは汚れていない。

いける・・・いけるぞ・・

天才に産んでくれた親に感謝の念が生じる。

次はおにぎりだ。

左手にビニールをしっかり握り、右手でおにぎり用の
トングを掴む。

おにぎりも種類がありすぎる・・・・

しかし迷っている暇はないのだ!
なぜなら僕は・・・(以下省略)

ここは、沖縄らしくジューシーでいくことに決定。

そのジューシーをまたビニールの上からササミに向かい
乗せる。

そこで、驚愕の事実を見てしまう・・・

あれほど気を使ったのに・・・・

・・・・・・ビニールがソースとケチャップでグチャグチャだ・・・・ポカンと開けた口がなんとも情けない。
しかし口を閉じることが出来ない。

どうやら、タレのついたササミを袋の中で泳がすと
その隙間という隙間にタレが浸透し、結果、ビニールを汚してしまうようだ。

恐るべし重力、
などと考えている場合ではない。

もう後にはひけない。
綺麗で無垢だったあの娘のような
ビニールには二度と戻れない。

しかし、返品する事もやり直すことも許されない。
ピンチ過ぎて泣きたくなる。

しかし僕はもう33歳。

・・・・・・・発想の転換が必要な時が来たようだな。

ここでアラキング家にまつわる伝統の秘儀77個のうち
一つを使わなくてはいけないのだ、と感じる。

そう
「開き直り」
ってやつだ。

姿勢を整え、目をつぶり次の瞬間、僕の顔が変わる。

グチャグチャですが何か? 
という顔に。

我ながら完璧すぎる。ありがとう
秘儀を伝えてくれたお父さん。

そしてその中に無常にも放り込まれたおにぎりと
共にレジに向かう。


「この世の混乱」
の前で見事に混乱するレジの女性、
そう、彼女は僕が何をビニールに入れたか
判別して料金を計算しなくてはいけない
任務を持っている。

袋を下から見たり横から見たりして、やっと商品を特定する。
「・・・・・250円です」

若干、笑われている気がする
が気にしていられない。

安い・・・こんなにデカイ、ササミとおにぎりで250円?

最高だ。

そのまま、恥ずかしかった気持ちもぶっとび、
外にでる。

日差しがとても爽やかだ。虫の音色すら輝いて聞こえる。

自動ドアの扉が閉まる頃、店先にいたカップルはまだ、タバコを
ふかしていた。

きっと仲良くオニササを食べた後だろう。
オニササは不思議な食べ物だ。オニササを
共有すると同じ戦友のような気持ちになれる。

しかし、僕のオニササはグチャグチャなので
カップルに
話しかけるのはやめといた。

僕は、カラフルなベンチがあるところを選んで腰掛ける。

ふーっと息をつく。

しかし腹が減った。

誰も僕を見ていないことを確認して・・・・・

ビニール袋を開ける。


袋の中でムニュムニュとおにぎりとササミをはさんでいく。

みるみるうちにケチャップのせいで
まるで血まみれになっていくが
誰も僕とケチャップを止めることは出来ない。

さあ!出来た!

いざ!頂きます!

がぶ!


うまーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
がぶ!


 ジュワーーーー!!

うおーーーー!!!

と、ちょっと惣菜の前ではありえない様な顔で
モグモグ食べてしまう。

なんて言うか、想像以上の美味さだ。

ササミはサクサクで中はジュワーっと肉汁が出てくる。

一口、また一口と進めていくと
ササミの後部でにぎり潰された、ジューシーに
口が届く。

パク!!!モグモグ・・・・・

おいおいおいおいおいおいおい・・・・・

このコラボ、とんでもないわ・・・・

おにぎりとササミが一体になったところはまさにファンタスティック。

手づかみで上質なソースカツどんを食べているような感じと言えば
伝わるだろうか。
とにかく、ジューシーのほんわかした食感が
ササミのサクサクジュワーと混じりあうことで
お互いがお互いの持ち味を引き出している。

大げさだと思うだろうか?

いや、ぜひこれは味わっていただきたい。

あっという間に、完食してしまう。

オニササデビューを果たした満足感と、信じられないものに
出会ってしまった感動とですぐに動くのは
もったいない感じがした僕はしばらく、余韻にひたることにした。

こんな適当な作り方でこんなに美味かったのだから正規の作り方なら
さらに美味いはずだ・・・・

家帰ったらO城君に聞いて、また絶対に来よう・・・・・


そのまま夢心地のまま再びバイクにまたがり
エンジンをかける。また必ず帰ってくるからね。とつぶやく。

そして、しばらくバイクを走らせていると肝心なことを
忘れていたことに気づく。

「八重山ホンダの道・・・・聞き忘れた・・・・」





外伝

その日のうちに、O城君と一緒に飲む機会を儲け
オニササデビューを果たしたことを伝えると
O城君は我がことのように「おめでとう!」と言ってくれた。

そして、僕が興奮しながら話の顛末を話していると
O城君の顔がミルミル曇っていく。

あれ?と思い、訳を聞いてみる。

「オニササ250円も絶対にしないよ?
170円位じゃないかな?」

「え?」

「アラキングが選んだ惣菜、ササミじゃないんじゃない多分、カツだよ、それ。

「え?」

「しかもおにぎりはジューシーを選ばないよ、オニササは、
のりたまのおにぎりで作る
ものさ


「え?」

「アラキングが食べたのオニササじゃないね♪
ジューカツだね♪(ジューシー+カツ)」

「え?」

「まだ、オニササデビューできてないね♪」



・・・・・・ササミじゃない・・・・?

じゃあ上質なカツみたいだ、とか言ってたのは?

上質なカツでした

とても肉汁がジュワーっとしてたのは?

上質なカツだからでした

うまーいっと叫んだのは?

上質なカツにです。

・・・・・・・・そうか・・・・・・・

皆さん、長々と僕が食べた上質なカツの話
を聞いてくれて本当に
ありがとうございました。

でも・・・ササミだったよな・・・・あの感じは。

・・・・・あっ・・・もしかして・・・・・
袋の中がグチャグチャだったからお会計の時に
ササミが二つ入っているように見えたのかもな・・・・・・

これで、長編ブログはおしまいです。

PS 後日家族で、ちゃんとした作り方を完璧に頭に叩き込んで
オニササを食べに行きました。カツと変わらないくらい美味しかったことを
ここに表記しておきます。