伝統と言葉

2010年12月22日

皆さん、十一月の後半以来の登場です。アラキングです。
突然ですが問題です!
「まいはる」って何だかわかりますか?それでは「たかたる」は?
わからないですよね。
これ実は小浜島の方言でそれぞれ
「大きい」と言う意味と「高い」という意味なのです。

八重山の島々はそれぞれ独自の方言があります。
つまり、こんなに近い場所でも方言で話したら会話が続かないのです!!
驚きですよね。
島のおじいさんやおばあさん同士が話している時は、よく聞いてみましょう。
本当に何話してるんだか、全くわからないですから。

今、小浜の方言は恐らく、衰退の道をたどり続けています。
僕は移住者なのでもちろんしゃべれません。
一つの言葉が消えかけるその時代の狭間に直面して
生きているのだなと思うと「伝統」の重みを、ふと考えたりもします。

しかし僕は今までどこかで、方言なんてこの時代から無くなるものは無くなるし、
それは人間が必要としなくなったから必然なんだ
ってどこかで思って暮らしていました。言葉の壁ってものがあるから
分かりあえないのだと・・・・

しかしある日・・・・この考えが根底から翻る想いをしてしまったのです。
小浜島方言が話せる島出身のHくんとの会話で、ふと・・・・

僕「なぁなぁ小浜の方言ってどんな感じ?」
Hくん「こんな感じだよ!○×※△□・・・・・!!!」

なんだこれ?そして何だこの感覚?不思議だ・・・・

僕はこのHくんの口から出る不思議なサウンドに
変な感覚を持ちました。

僕「すげーな・・・それで歌とか歌うとどうなるんだろうね?
試しに大きな古時計、方言で歌ってみてよ」

と軽い気持ちで言いました。

・・・・・・・・・・Hくんが平井けんも真っ青な歌声で(ちなみに
顔は平井けんというよりイタリアの悪い人にそっくり、
さらに言えばHくんのHはヒライのHではない)
大きな古時計(小浜島バージョン)を
歌ったのです!!!


・・・・・・ステキすぎる・・・・・・言葉は芸術に充分成りうるのか・・・・・・・
文化や伝統は、やはり芸術の香りがする。芸術が必要でない社会
の方がおかしい・・・・・・・・

と、僕が持つ方言の価値観を変えられてしまいました。

小浜島に来られた際は、どこかでこの
目には見えない小浜の人が生み出した芸術
に触れてみてください。
それだけで非常に価値ある旅になるはず。
まだ今なら触れることができるのだから。
さあ皆さんで歌いましょう。
      大きな古時計 小浜バージョン♪


 (おおきな  のっぽの         おじいさんの     )
まいはーる、たかたーる、古時計、あうちぇーぬ とけいー♪

 (   いつも  うごいていた おじいさんの        )
100年 なあい うごきひたる あうちぇーぬ とけいー♪

(おじいさんの  産まれた 朝に   買ってきた    時計さ    )
あうちぇーぬー まりたるぴぃんが かいきーたる とーけいゆー

(今は もう   うごかない その 時計        )
みなん めぇ うきいらぬ うぬ とーけーいーー♪」

どうでした?僕が言ってる意味分かったのではないでしょうか?
癒されませんか?楽しくないですか?
これぞコハマジック。
うーん恐るべし。